PM NOTE
記事
採用ペルソナの作り方。求める人物像を言葉にする
面接官によって評価がばらばらになる。求人票を書いても、誰に向けた文章なのかがぼんやりしている。そんなときは、求める人物像がそろっていないのかもしれません。採用ペルソナのつくり方を、入社後の場面から考える方法で整理します。

採用ペルソナとは、自社が採用したい人物を、ひとりの具体的な人として描いたものです。経験年数やスキルのような条件を並べるだけでなく、どんな場面で、どんな考え方で働いている人なのかまで言葉にします。採用に関わる人が同じ人物を思い浮かべられるようにするための道具です。
この記事では、採用ペルソナがなぜ必要なのかを説明したうえで、つくり方の手順、使い方、よくあるつまずきを順番に紹介します。
なぜ採用ペルソナが必要なのか
採用がうまくいかない理由で多いのが、関わる人によって「求める人物像」がばらばらになっていることです。人事は「明るくて素直な人」、現場は「すぐに一人で回せる人」、経営者は「将来の幹部候補」を思い浮かべている。この状態で選考を進めると、一次面接で通した人が二次面接で「思っていた人と違う」と言われる、ということが繰り返されます。
採用ペルソナがあると、次のようなことが変わります。
- 面接官によって評価がぶれにくくなる
- 求人票やスカウトの文面を、誰に向けて書くのかがはっきりする
- どこで探せば会えるのか、届け方を考えやすくなる
採用をひとつのプロジェクトとして見直すとき、最初にそろえるのがこの人物像です(→ 採用がうまくいかないとき、プロジェクトとして見直すこと)。
条件ではなく、入社後の場面で描く
採用ペルソナをつくるときに大事なのは、条件から入らないことです。「経験3年以上」「マネジメント経験あり」と並べても、関わる人が思い浮かべる姿はそろいません。
代わりに、「この人が入社して半年たったとき、どんな仕事をしていてほしいか」という場面から考えます。たとえば、こんな書き方です。
- 毎週の定例で、自分の担当分の進み具合と困りごとを、聞かれる前に共有している
- お客様からの急な相談に、まずは自分で受け止め、必要なら上司に早めに相談している
- 新しく入った後輩に、自分がつまずいたところを先回りして伝えている
場面で描くと、その人に必要な経験や考え方が、あとから自然に見えてきます。
採用ペルソナのつくり方
1. 関わる人を集めて、場面を出し合う
人事だけでつくらず、現場の責任者、一緒に働くメンバー、必要なら経営者にも入ってもらいます。「入社半年後にしていてほしいこと」を、それぞれ付箋や紙に書き出してもらい、並べてみます。人によって思い浮かべていた姿の違いが、ここではっきりします。
2. いま活躍している人を思い浮かべる
社内で同じ仕事をしていて、うまくいっている人がいれば、その人の働き方を手がかりにします。どんな場面で力を発揮しているか。なぜその人はうまくいっているのか。逆に、合わなかった人のことも振り返ると、「これがないと難しい」ことが見えてきます。
3. 必須と、あればうれしいを分ける
出てきた場面から、必要な経験・考え方・スキルを書き出し、「これがないと難しい」と「あればうれしい」に分けます。必須の条件が多すぎると、合う人がいても応募の段階で離れてしまいます。必須は、本当に外せないものだけに絞ります。
4. ひとりの人として書く
最後に、ひとりの人物としてまとめます。いまどんな仕事をしていて、何に困っていて、次の職場に何を求めているのか。どんなときにやりがいを感じるのか。年齢や性別のような属性を細かく決める必要はありません。働き方と考え方が伝わることが大切です。
5. 関わる人で確かめる
書き上げたら、もう一度関わる人に読んでもらい、「この人なら採りたい」と全員が言えるかを確かめます。ここで違和感が出たら、遠慮せずに直します。
関わる人が集まって、目的と進め方を最初にそろえる場は、プロジェクトのキックオフとよく似ています。採用を始める前の1時間をこの場に使っておくと、途中の手戻りがぐっと減ります(→ キックオフで、これだけは決めておく5つのこと。)。
採用ペルソナの書き方の例
たとえば、営業事務の担当者を募集する場合なら、次のような書き方になります。あくまで書き方の例です。
- いまの仕事:別の会社で、受発注や請求の事務を数年担当している。決まった手順はひと通りこなせる
- いま困っていること:仕事の進め方を良くしたいと思っても、提案できる雰囲気がない
- 次の職場に求めること:自分の工夫が仕事の改善につながり、それを見てもらえること
- 入社半年後の姿:営業担当からの依頼を受けるだけでなく、抜けやすいところを先に声かけしている
こう書くと、求人票で何を伝えればよいか(工夫を歓迎すること)、面接で何を聞けばよいか(これまでに自分から変えたこと)が見えてきます。
採用ペルソナの使い方
- 求人票:ペルソナが今いる場所で何に困っているかを想像し、その人に届く言葉で書く
- 探す場所:ペルソナがふだん情報を得ている場所を考え、媒体や紹介の頼み方を選ぶ
- 面接:ペルソナの場面に近い経験を聞く質問を、面接官どうしで用意しておく
- 合否の判断:迷ったときに、ペルソナと照らし合わせて話し合う
よくあるつまずき
理想を詰め込みすぎる
「あれもこれもできる人」を描くと、現実にはほとんどいない人物になります。そういう人がいたとしても、自社を選んでくれるとは限りません。必須は絞り、自社で育てられることは入社後に任せます。
つくって終わりにする
ペルソナは、採用を進めながら直していくものです。面接で会った人の様子や、辞退の理由から、ずれが見えてきます。振り返りの場で、ペルソナが実際の採用に合っているかを確かめ、必要なら書き直します。
自分たちに似た人ばかりを描く
いまのメンバーをそのまま写すと、似た人ばかりが集まり、チームに足りない力が補えません。いまのチームに足りないものは何かも、あわせて考えます。
まとめ:採用ペルソナは、関わる人の頭の中をそろえる道具
採用ペルソナとは、採用したい人物を、ひとりの具体的な人として描いたものです。
- 条件からではなく、入社後の場面から考える
- 関わる人を集めて、思い浮かべている姿の違いを出し合う
- 必須と、あればうれしいを分け、必須は絞る
- 求人票・探す場所・面接・合否の判断で使う
- 採用を進めながら、ずれを見つけて直していく
ペルソナがそろうだけで、同じ媒体、同じ面接官でも、採用の進み方は大きく変わります。
おまかせPMは、社内に進める人がいないプロジェクトを、進める役割ごとお引き受けするサービスです。採用の進め方を見直したいけれど、手が回らないときは、どこで止まっているのかの整理から、ご相談ください。
採用ペルソナは、条件からではなく、入社後の場面から描きます。