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事業計画書の書き方。読む人が知りたいことから書く
事業計画書を書くことになり、ひな形の項目を埋め始めた。でも、書けば書くほど長くなり、何が言いたいのか自分でも分からなくなってくる。事業計画書は、項目を埋めるより先に、誰に向けて書くのかを決めると、ぐっと書きやすくなります。読む人から逆算する書き方を整理します。

事業計画書を書くとき、多くの人はひな形の項目を上から順に埋めていきます。会社の概要、事業の内容、市場、競合、売上の見通し。どれも必要な項目です。けれど、全部を同じ熱量で埋めた計画書は、読む人にとって「どこが大事なのか分からない」ものになりがちです。
事業計画書は、読む人に何かを決めてもらうための資料です。だから、書き始める前に「誰が読んで、何を決めるのか」をはっきりさせることが、いちばんの近道になります。
事業計画書は、誰に読ませるかで中身が変わる
同じ事業でも、読む人によって知りたいことはまったく違います。よくある読み手と、その人が知りたいことを並べてみます。
- 金融機関:お金をきちんと返せるか。売上と費用の見通し、手元のお金の動き、これまでの実績
- 出資を考えている人:この事業はどこまで大きくなるか。なぜいまなのか、なぜこのチームなのか
- 社内の経営陣:会社の資源を使ってやる価値があるか。既存の事業との関係、必要な人とお金、やめる判断の基準
- 一緒に働くメンバー:自分は何をすればいいのか。目標、役割、期限
項目のひな形は同じでも、どこを厚く書くかは読み手で決まります。「全員に向けて書く」と、誰にとっても物足りない計画書になります。まず、今回の読み手を1つに決めます。
書く前に決めておく3つのこと
1. 読む人に、何を決めてほしいのか
融資をしてほしいのか、出資をしてほしいのか、社内で予算と人をつけてほしいのか。読み終えたあとに相手にしてほしいことを、一文で書いておきます。この一文が、計画書全体の目的になります。
2. 相手がいちばん気にしていることは何か
読み手は、何かしらの不安を持って読んでいます。「返ってくるのか」「本当に売れるのか」「うちの会社がやる意味はあるのか」。その不安に正面から答えている部分が、計画書の中心になります。分からなければ、読み手に近い人に聞いてみるのも手です。
3. まだ分かっていないことは何か
計画書には、確かなことと、まだ確かめていないことが混ざります。どこが仮説なのかを自分たちで分かっておくと、書き方を誤りません。分かっていないことを、分かっているように書かないことが大切です。
読む人が知りたい順に組み立てる
読み手と目的が決まったら、組み立てに入ります。多くの事業計画書に共通する流れは、次のとおりです。
- 要約:何の事業で、相手に何をお願いしたいのかを最初の1ページで言い切る
- 解きたい困りごと:誰が、何に困っているのか。それはなぜ、いまのやり方では解けないのか
- 解き方:自分たちは何を提供して、どう解くのか。ほかの選択肢と比べて選ばれる理由
- 届け方と稼ぎ方:どうやってお客様に届け、どこからお金をいただくのか
- 体制:誰がやるのか。足りない人や力を、どう補うのか
- お金の見通し:売上と費用、必要なお金と使い道。その数字の前提
- 進め方:いつまでに何をするか。途中で確かめる節目と、判断の基準
大事なのは、1枚目の要約です。忙しい読み手は、最初のページで読み進めるかどうかを決めます。要約だけ読んでも、何の事業で、何をお願いしたいのかが分かるように書きます。
数字は「前提」とセットで書く
売上の見通しは、計画書の中でいちばん目を引く部分です。そして、いちばん疑われる部分でもあります。
数字そのものより大事なのは、その数字がどんな前提から出てきたのかです。たとえば、「1か月に何件の問い合わせがあり、そのうち何割が契約になり、1件あたりいくらになるか」。こうして数字を前提に分けておくと、読み手は前提のどこが楽観的かを自分で確かめられます。書き手にとっても、計画がずれたときに、どの前提が外れたのかが分かります。
見通しは、うまくいった場合の1本だけでなく、控えめな場合も並べておくと、読み手の安心につながります。
よくあるつまずき
ひな形をすべて同じ厚さで埋める
項目が多いほど、しっかり考えたように見えます。けれど、読み手が知りたいことが埋もれてしまっては意味がありません。読み手が気にしている項目を厚く、それ以外は短くします。
「できること」ばかり書いて、「確かめたこと」が少ない
機能や強みを並べるだけでは、本当に求められているのかが伝わりません。実際にお客様になりそうな人に話を聞いた、小さく試して反応を見た、といった確かめた事実があれば、短くても書き添えます。
書いたら終わりにする
事業計画書は、出したら終わりではありません。事業が始まれば、前提は必ずずれていきます。節目ごとに見直し、何が予定どおりで、何が違ったのかを確かめる道具として使い続けます。新しい事業を立ち上げるときの、最初の区切りの決め方は新規事業の立ち上げで、最初の3か月にやること。で紹介しています。
進め方が「がんばる」で終わっている
計画の最後が「全社一丸となって取り組む」で終わっていると、読み手は実行の姿を思い描けません。誰が、いつまでに、何をするのか。途中のどこで、何を見て判断するのか。ここまで書いてあると、計画が実行できるものだと伝わります。計画を動かす段取りの考え方は、プロジェクトマネジメントとは?基本の考え方と進め方も参考にしてください。
まとめ:事業計画書は、読む人のために書く
事業計画書は、自分たちの考えを並べる資料ではなく、読む人に決めてもらうための資料です。
- 読む人を1つに決め、何を決めてほしいのかを一文で書く
- 読む人がいちばん気にしていることに、正面から答える
- 1枚目の要約で、事業とお願いを言い切る
- 数字は前提とセットで書き、控えめな見通しも並べる
- 書いたあとも、節目ごとに見直して使い続ける
読む人が変われば、同じ事業でも書き方は変わります。出す相手ごとに、どこを厚くするかを見直してから仕上げてください。
おまかせPMは、社内に進める人がいないプロジェクトを、進める役割ごとお引き受けするサービスです。計画はできたけれど、動かす人がいないときは、何から手をつけるかの整理から、ご相談ください。
事業計画書は、自分たちの考えを並べる資料ではなく、読む人に決めてもらうための資料です。