PM NOTE
記事
プロジェクトが止まる本当の理由は、「言いにくさ」にある。
締切が近づいてから、実は大きく遅れていたことが分かった。会議では全員が賛成したはずなのに、決めたことが一向に動かない。そんな場面に、心当たりはないでしょうか。

理由をたずねると、返ってくるのはたいてい「忙しかった」「人が足りなかった」です。もちろん、それも本当でしょう。ただ、もう一歩たずねると、別の理由が見えてくることがあります。遅れていることを、言い出せなかった。反対だったけれど、その場では言えなかった。ほかの部署に、頼みにくかった。
段取りや人手の問題に見えて、その奥にあるのは、人と人のあいだの「言いにくさ」です。
言いにくさは、3つの形で現れる
遅れていることを、言えない
責任感のある人ほど、遅れを自分で取り戻そうとします。「来週にはなんとかなる」と思っているうちに、周りが気づいたときには、取り返せないところまで来ています。
反対だったことを、言えない
会議では誰も反対しなかったのに、決まったことが動かない。そういうとき、実は反対だった人が、会議のあとで手を止めていることがあります。その場で「それは難しい」と言えていれば、案を直して前に進めたはずです。
ほかの部署に、頼めない
部署をまたぐプロジェクトでは、ほかの部署の人に時間を割いてもらう必要があります。相手も手一杯なのが分かっているので、頼むのをためらいます。頼むのが遅れ、頼んでも後回しにされ、少しずつ全体が後ろにずれていきます。
本人の性格ではなく、場の問題
こうした話をすると、「もっと早く報告してほしい」「反対なら会議で言えばいい」と、本人の姿勢の問題にしたくなります。けれど、言いにくさは本人の性格ではなく、その場の状態から生まれます。
遅れを口にしたら、責められた。反対意見を言ったら、会議が長引いて気まずくなった。一度でもそういう経験をすると、人は次から言わなくなります。本人が悪いのではなく、言わないほうが安全だと学んだだけです。
部署をまたぐプロジェクトほど、この状態になりやすくなります。ふだん一緒に働いていない人どうしが集まるので、お互いの事情が見えにくく、遠慮が先に立つからです。
だから、手を打つ先は人ではなく、場です。
言っても大丈夫な場をつくる、3つの工夫
困っていることを、最初に聞く
週に1回の集まりでは、進み具合の報告より前に、「いま困っていることはありますか」と聞く時間をつくります。最初に聞くのがポイントです。最後にまわすと、時間が足りなくなって流れてしまいます。
困りごとが出てきたら、責めずに「では、誰が何をすれば戻せるか」だけを話します。これを何度かくり返すと、言っても大丈夫な場だということが、言葉で説明しなくても伝わっていきます。
「できない」を言っていい期限を決める
頼まれた仕事ができそうにないとき、いつまでに言えばいいのかを先に決めておきます。「締切の1週間前までなら、できないと言っていい」と決まっていれば、言う側の迷いが減り、周りも早めに手を打てます。
反対意見は、会議の外でも聞く
大勢の前では言いにくいことも、1対1なら話せることがあります。大事な決定の前には、関係者に個別に「気になっている点はありますか」と聞いておきます。会議を、その声を持ち寄る場にすると、決まったあとで手が止まることが減ります。
言いにくいことを、引き受ける人を置く
場を整えても、同じ会社の人どうしだからこそ言いにくいことは残ります。上の立場の人への催促、ほかの部署への頼みごと、反対意見の聞き取り。こうした仕事は、利害の外にいる人のほうが引き受けやすいものです。
プロジェクトを進める人の役割は、段取りを組むことだけではありません。人と人のあいだに立って、言いにくいことが言える状態をつくることも、同じくらい大事な仕事です。
止まっているプロジェクトを前にしたら、段取りを見直す前に、「言えていないことはないか」を一度たずねてみてください。
おまかせPMは、関係者のあいだに立って、プロジェクトを終わりまで進める役割を、期間を決めてお引き受けするサービスです。社内だけでは言いにくいことがあるときも、ご相談ください。